The・プロジェクト名

ERP導入や基幹システムの刷新を進める際、皆さんはプロジェクト名をどのように決めているでしょうか?

よく聞く名前としては「新基幹システム刷新プロジェクト」や「ERP導入プロジェクト」などがありますが、私はプロジェクト名こそ、ぜひこだわって考えるべきだと思っています。

プロジェクトを開始するまでは、決して容易い道のりではなかったはずです。稟議の承認ひとつをとっても、費用対効果の算出やベンダーの選定、適切なプロジェクトメンバーの招集など、多くの課題をクリアしなければなりません。これらを進めるには、経営層だけでなく関係する部署や部門長に了承を得る必要があり、部署間の調整や根回しにも時間と労力を要します。新しい仕組みへの抵抗感を示す人がいる場合は、粘り強い説明や説得も欠かせません。

こうした多岐にわたる課題を乗り越え、最終的に会社やユーザーの賛同を取り付け、ようやくプロジェクトを発足させることができたときの喜びはひとしおでしょう。しかし一方で、「もし失敗したらどうしよう」という不安がつきまとうのも事実です。

だからこそ、その“想い”をプロジェクトの名前に込めることが大切ではないでしょうか。単なるシステム刷新やERP導入に留まらず、「これからわが社がどう変わりたいか」「どんな未来を作りたいか」といったビジョンを、プロジェクト名で社内に示すのです。そうすることで、プロジェクト推進メンバーだけが取り組むものから、会社全体を巻き込み、応援してもらうための力が生まれると考えています。

プロジェクト名を決めるプロセスはいくつかあると思いますが、その一つの方法として、プロジェクト発足の意義をしっかり共有したうえで、プロジェクト参画メンバーや関係者から公募するのはどうでしょう。みんなが真剣に考えたうえで、“これだ”と思える名前を全員で決定する。無機質な名前に比べて、はるかに愛着や熱意が生まれるのではないでしょうか。

もちろん、プロジェクト名が成功を左右するわけではありません。しかし、その命名に至るまでのストーリーや込められた想いが、チームのモチベーションに少なからず影響を与えることでしょう。プロジェクト名をどう決めるかは些細なことと思われがちですが、実はプロジェクトに携わる人々の意識を結びつけ、推進力を高める要素になるのです。

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