miroで実現するERP導入プロジェクトの新たなステージ

ERP導入は、多くのドキュメントが必要とされます。ヒアリングシート、データシート、コード定義書、インターフェイス仕様定義書、ビジネスプロセスリスト、プロジェクトメンバー表、プロジェクト憲章など、その数はゆうに100を超えるでしょう。また、これらのドキュメントは相互に関係しているため、複数のドキュメントを参照しながらプロジェクトを進める必要があります。このようなドキュメントの数は、ERP導入に携わってきた経験のあるITベンダーでさえも大変な作業です。お客様は導入期間中にこれらのドキュメントを理解し、活用できるようにする必要があります。この点が、「ERPをどのように活用すれば良いか理解できない」という難題の一因となっています。

では、どうすれば良いのでしょうか。その一つの解決策が、miroです。miroは「無限キャンパス」のように、あらゆる情報を一枚のキャンパス上に表現することができます。これにより、例えば、業務ヒアリングからソリューション要求への遷移がスムーズになり、それらの関係も明確になります。また、このリモート環境下でも優れたコラボレーション機能を発揮します。Bifコンサルティングでは、ERP導入においてmiroをフルに活用しています。

ERP導入で必要な要求事項、ビジネスプロセスモデル、ビジネスデータモデルからインターフェース仕様に至るまで、miroを使用してそれらをあたかも地図を描くようにまとめていきます。天候が西から東へと移り変わるように、ドキュメントの内容は、西(左側)から東(右側)に進むにつれて詳細化されていきます。また、業務領域ごとに地図上で色分けし、販売は薄緑色、生産は水色などとします。これにより、自身の担当領域を地図上で色を目印に探索できるようにします。さらに、主要なマスター定義は中央省庁、業務領域ごとのマスターやパラメータの定義は地方自治体と言ったように、役割ごとに配置します。

これらの利点を従来型の導入方法と比較して説明します。従来型の導入では、業務ヒアリングはプロジェクトの序盤で行われます。そのため、そこからプロトタイプやソリューション要求の定義までの間には、時間の隔たりが大きくありました。ヒアリングシートを度々見直す必要があることも多かったと思います。場合によっては、ヒアリングが反映されないソリューションが提案され、お客様が「あのヒアリングは何だったのか」と不満を持たれることもあったでしょう。しかし、miroではそういったことはほとんど起こりません。なぜなら、業務ヒアリングのすぐ下にそれに沿ったソリューション要求定義が配置されているからです。

先に部分的な例を挙げてしまいましたが、ここからは全体の構成を説明します。

最初に、1番左にはビジネスモデルエリアがあります。ここでまとめた内容はビジネスプロセスフローエリアに繋がります。次に、プロジェクト管理エリアがあります。このエリアでは、miroのテンプレートのカードタイプを使用してプロジェクト運営体制図を作成します。カードは便利で、各部門やプロジェクトでの役割をタグで表すことができます。さらに、このエリアにはRACIマトリックスを配置します。ここで、WBSのアウトライン2レベルごとに役割とワークフローを定義します。お客様とベンダーの役割の違いは、色分けされた付箋で見分けられます。これにより、作業内容や責任範囲などが明確になりますし、それが一枚のキャンパス上にあるのでいつでもすぐに確認できます。

次に、主要業務要求エリアと主要マスターエリアです。主要業務要求エリアでは、その要求がAS-ISのシステム機能に陥らない様に注意しなければなりません。Bifコンサルティングでは3M(Man, Machine, Material)+M(Method)を軸に制約条件を抑えます。3M+Mを使うことで本質的な要求へと要求の軸をずらすのです。主要マスターエリアでは、顧客や仕入先の階層をmiroのテンプレートにあるマインドマップで作成します。品目やBOM、工程の定義は、工場視察時に収集した工場間取り図とこれらマスターとの関係性を示します。ERP導入では中間品の扱いが特に課題となりますので、こうすることで、現地の実態とソリューションの整合性を保つようにします。

次に、ビジネスプロセスフローエリアです。このエリアには、物流ネットワークエリアと鳥瞰図エリアがあります。物流ネットワークエリアは、miroのテンプレートにあるマインドマップを使用して作成します。このエリアでは、仕入先からお客様の納入先まで全ての物流パターンを描きます。鳥瞰図エリアは、miroのテンプレートにあるBPMNフローを使用して作成します。鳥瞰図エリアでは、ビジネスプロセスフローをウォークスルー機能、コア機能、補足機能の3つに分けて表示します。これは、機能が豊富なERPを順序立てて扱うために必要です。また、各業務エリアへのオブジェクトリンクも貼ります。

そして、業務部門毎のエリアが続きます。このエリアでは、業務機能毎に用途、目的、確認事項、詳細の業務要求、詳細のビジネスプロセスフロー、ソリューション要求定義および画面や帳票の説明が記載されています。さらに、インターフェース仕様もmiroのテンプレートに備わっているUMLシーケンスで表現されます。

ERP導入プロジェクトでは、miroで描かれるキャンバスは広大なものになります。そのため、お客様はどこを見れば良いのかわからなくなることもあるかもしれませんが、miroには他の方を追跡する機能があるので安心して下さい。お客様は、画面操作をすることなく、プレゼンターをフォローすることで、プレゼンターが見ている画面と同じものを見ることができます。これも実際の作業に即した便利な機能です。

このように、ビジネス要求レベルから業務要求、そしてソリューション要求レベルへと、笹の葉が清流を流れる如く整理されていきます。大事なことは、お客様がERPを理解するためには、ベンダーが業務視点を持つということです。そのためには、ERPの機能から説明するのではなく、このように業務要求に沿ってソリューション要求をまとめる必要があるのです。また、これらの取り組みが一方通行にならない様、セッションの都度お客様からの理解度アンケートを実施します。その際には、miroの投票機能を活用します。

実際にmiroを使っていると、お客様から「私たちもmiroを使いたい。」という声が上がることがあります。セッションでプロセスフローを素早く作成する様子を見られて、miroが使いやすいと感じられるのでしょう。

先に述べた通り、従来のERP導入ではExcel、PowerPoint、Wordなど、多くのアプリケーション種類のドキュメントが必要でした。中には直感的に理解しにくいものや、他のドキュメントと整合性が取れていないものもありました。しかし、これからのERP導入プロジェクトでは、miroのような最先端のアプリケーションが重要な役割を果たすと強く感じています。ERP導入に20年以上携わってきたからこそ、そのように感じるのです。私たちは、これまでのページという概念から解放されるのです。そしてこのような取り組みによって、多くの企業がERPを当たり前のように使いこなせる日が訪れることを願い、Bifコンサルティングは日々最先端のアプリケーションを探求し、お客様に価値を提供してまいります。